「妊娠時にお腹の赤ちゃんのために葉酸が必要」という言葉、どこがで目にしたことはないでしょうか?
①なぜ妊娠時に葉酸が必要なのか
②「狭義の葉酸」と「食事性葉酸」
③妊娠時の摂取量の目安
④葉酸が多く含まれる食品+レシピ
この4点について説明していきたいと思います。
- なぜ妊娠時に葉酸が必要なのか
葉酸が欠乏することにより、胎児の神経管閉鎖障害が起こることが知られています。神経管閉鎖障害とは胎児の神経管ができる時(受胎後およそ28日)に上手くつながらない先天性異常で、無脳症・二分脊椎・髄膜瘤などがあります。
多くの場合、妊娠を知るのはその期間よりも遅いため、妊娠初期だけでなく、妊娠を計画している女性、可能性がある女性は予防のために積極的に摂取することが必要です。
- 「狭義の葉酸」と「食事性葉酸」
狭義の葉酸とは自然界には稀にしか存在せず、サプリメントや強化食品など、通常の食品以外の食品以外含まれるものに限られ、人為的に合成されたものを指します。
対して食事性葉酸は狭義の葉酸と異なる構造を持った物質が複数存在しており、食品中に存在する葉酸をまとめたものを指します。
食事性葉酸の消化過程は食品ごとに異なるため、狭義の葉酸の生体利用率に比べると低く25〜81%と報告されています。また日本人を対象とした実験では、食事性葉酸に比べて狭義の葉酸は2倍の生体利用率を有すると報告されています。
- 妊娠時の摂取量の目安
前述したように妊娠を考える全ての女性は積極的な摂取が必要です。
そのため日本人の食事摂取基準(2020年版)(1では付加量が示されています。通常の摂取量の目安(推奨量)は食事性葉酸で設定されていますが、付加量は狭義の葉酸を400μg/日摂取することが望まれています。
葉酸の食事摂取基準(1(μg/日)
年齢(歳) | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐容上限量 |
18〜29 | 200 | 240 | 900 |
30〜49 | 200 | 240 | 1000 |
50〜64 | 200 | 240 | 1000 |
妊娠(付加量) | +200 | +240 | |
授乳中(付加量) | +80 | +100 |
※耐容上限量は潜在的な健康障害のリスクが高まる量であり、食事性葉酸では設定されていない。上記は狭義の葉酸を摂取することに限り設定されている。
- 葉酸が多く含まれる食品
胎児の神経管閉鎖障害の原因は葉酸の不足だけでなく複合的なものであるため、狭義の葉酸の摂取だけでは防ぐことはできません。狭義の葉酸を十分に摂取しているからといって食事性葉酸を含む食品を摂取しなくてよいという意味では全くありません。
ここでは葉酸を多く含む食品を紹介していきます。
食品 | 1回の使用量(目安) | 葉酸含有量 |
ほうれん草(生) | 1/4束(50g) | 105 |
春菊(生) | 1/4束(50g) | 95 |
ブロッコリー(電子レンジ) | 5個(40g) | 64 |
鶏レバー(生) | 焼き鳥1本分(30g) | 390 |
葉酸は水溶性ビタミンに分類され熱や水に弱く、加熱をすると栄養素が壊れてしまったり、水に溶け出したりしてしまいます。
そのため茹でる代わりに電子レンジ調理をしたり、溶け出した栄養素をそのまま食べることができるスープに入れたりすることで、無駄なく摂取することができます。
【おすすめレシピ】
ほうれん草と白菜のゆず和え
1人前
かぼちゃ60g使用
葉酸 149μg含有
キハダマグロ※と野菜のバターじょうゆいため
1人前
ブロッコリー 30g使用
葉酸 102μg含有
※妊娠中に非常に多くの水銀を摂取すると、胎児の神経系に悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要です。
水銀は大型の魚に多く含まれていますが、今回使用するキハダマグロは特に注意することなく摂取することができます。
葉酸なぜが妊娠時に必要なのか、葉酸の種類について、摂取量目安や多く含まれる食品などを説明してきました。
今回紹介した食品を積極的に摂取することも大事ですが、その他の食品や栄養素も摂取することでより効果を発揮します。偏った食品を摂ることがないように心がけましょう!
(1食事摂取基準とは?
→何をどれだけ食べたら良いか示した基準のこと